自家現像宣言(暗室作ります!)

前回の投稿でもお伝えした通り、今カメラ業界はデジタルの最先端技術の開発にしのぎを削り合っているように思います。私は、その時代の流れに完全に逆行するようなことを、この1年間くらいずっと考えておりました。自家現像です。
カラープリントは、今現在のデジタル機材でかなり楽しむことが出来ています。しかし、モノクロのプリントについては、現在使っているEOS40DとPIXUS Pro9000(染料インク)の組み合わせでは、素人の私が生意気言うのもなんですが、いまひとつ作品に納得がいっていません。
今年の1月にEOS7sを中古で購入してからは、フィルムの画像を元々家にあったEPSONのスキャナーでとって、Pro9000でプリントするという工程でも楽しむようになりました。この工程でも、一段進歩したように思い特に階調表現はEOS40D+Pro9000よりも大幅に改善されたように思っています。しかし、そうなるとモノクロフィルムから印画紙に焼く条件を色々と変えてみたら、どんな仕上がりになるのだろうかという興味がより一層湧いてきて、暗室を自宅につくることを改めて決意。特にこの半年間は、本屋やカメラ店で手に入る暗室に関する書籍を読みまくっていました。そして、ついに引伸機の中古品を先日購入し、昨日自宅に引伸機が到着。モノクロ初心者には、集散光式の引伸機がよいと言われていたので、それに相当する機種の新品や中古を色々と調べてみました。新品での購入も検討しましたが、最終的に購入したのはFUJI B690という機種。

B690

かなり以前に製造中止になった機種ですが、入門機としては十分すぎる性能と理解。写真にもある通り、超古い機種にも関わらず、ちゃんと発売当時の梱包のまま送られてきました。実際中身をあけてみると、支柱には錆が全くなく写真には写っていませんが、台座に支柱と引伸機本体を取り付けてみたところ、全くガタつきもなく、機能上問題はないです。

B690

そして何よりも嬉しかったのが、引伸用レンズも全く新品同様で使った形跡がほとんどありませんでした。中古品の場
合、引伸用レンズが付属していなかったり、付いていても、汚れがひどかったり曇りがあったりと、状態がよくないケースが多いようです。

FUJINON Lens

幸いにして非常に綺麗な状態であったのは、おそらくこの引伸機を使っていた元のオーナーは、35mmフィルムでは なく、6X6や6X7、6X9のように、もっと大きなサイズのフィルムを中心に引き伸ばし作業をしていたのではないかと思います。そうでなければ、35mmフィルムの引き伸ばしに使う50mmレンズが、使った形跡なしということはないでしょう。ネガキャリヤや引伸用レンズも、大きいフィルムサイズ用のものが全く付属されていませんでしたから。
あるいは、そういった備品だけ別枠で中古として売られたのかも…。いずれにしても、私の場合は35mmフィルム用の備品が揃っていれば、全く問題なし。35mmフィルム引伸用の備品がついて、引伸用レンズも新品同様のものが付いていて、全部で1万円強で手に入りました。一番値段が安い集散光式の入門機の新品でも、この値段では手に入らないです。
引伸機とレンズは、初心者用としては十分すぎるものがかなり安く手に入ったと思っていますが、残念ながら欠点がひとつ。取扱説明書がないです。しかし、この機種は非常にシンプルな作りなので、実際に組み立てて、コンデンサーレンズの取り付け方や電球の交換方法、多階調印画紙を使用する際のフィルターポケットの扱いなどもすぐに理解できました。それでも、実際に使ってみたら、操作方法に疑問点が生じることもあるかも.....とも考えたのですが、幸いな
ことに、FUJI B690が現役で稼働しているレンタル暗室がありました。東京は半蔵門にあるJCIIフォトサロンです。いざとなったら、ここのラボを一回使用して、使い方を教えてもらおうかと。
自宅暗室を準備するにあたり、気になることが一つありました。写真廃液の処理です。「暗室百科」という本に現像に使う各種配合処方が出ているのですが、化学構造を見ると、そのまま捨てると、あまり環境によろしくないのではないかという薬品も...。幸いにして私が住んでいる船橋には、誠和工業㈱という写真廃液の処理を行っている業者さんがあることが分かった。個人宅から出る写真廃液にまで対応してくれるのだろうかと疑問に思いながらも、ダメモトでメールを送ると、引き取ってくれるとの返事。現像廃液(廃アルカリ)と定着廃液(廃酸)を分けて保管し、20Lポリタンク2本を最小ロットとして対応してくれる。もちろん引き取りは無料ではない。20Lあたり1600円かかる。これを高いとみるか安いとみるかは、意見が分かれるところかもしれないが、個人宅にまでわざわざ引き取りにきてもらえるのであれば、私は安いと思う。

実際に、自家現像ができるようになるのには、まだ時間がかかりそうだ。揃えなければならない機材がまだかなりある。
それらをすこしづつ買い揃えていく必要がある。まぁ、揃えていく作業そのものも楽しいことではあります。