船橋でマンションに住んでいた時も、京町家の今の家でも、自分の仕事部屋兼趣味としての昔ながらの自家現像(フィルム現像と引伸機によるプリント作業)のための暗室は広いスペースでもないし、限られた空間をどう活かすかは永遠の課題。
京都に引っ越して5年経ち、色々と試行錯誤した末の現時点での結論は;
木工作業用のDIY作業台を2台組み合わせて多目的化する
です。
明治時代初期にはすでにあったであろう古くて小さな京町家をリノベした家なので、家具や襖とか、基本現代の家の規格と合わない。よって、どうしてもココにコレやアレを置きたい、設置したいとなると、DIYは避けて通れない。
というわけで、京町家に引っ越して直ぐに、まずは比較的安価なブラック・アンド・デッカー製のDIY用のワークベンチ作業台(ワークメイト wm225)を一つ購入した。
折り畳み式で、使わない時は比較的コンパクトになるものを選んだ。しかし、実際作業してみると、どうにも作業性が悪い。特に長さが1メートルを超える板や棒を削ったり、切ったりする作業になると作業台の面積が小さくてなんとも作業がし難い。
さて、どうしたものかと色々考えた。作業台と同じ高さの木の台を作ってみようかとか、似たような高さの台を探してゴム板下に入れて高さ調整してみようとか……。
でも、仕事しながら週末だけDIYするのにやっぱそんな準備作業ばかりに時間をかけてらんない......と色々思いあぐねているうち
「そうだ、すでに購入したのと同じ作業台をもう一台買えばよい」
と思い立った。2台購入した場合の利点は;
- 同じ規格の製品なので作業台の高さが同じ。二つ連結して作業しやすい。
- 大きい木材を扱う場合、二つの作業台の間隔を自在に調整できるのは何かと便利
- 長さが1メートル以上ある長い板や棒のカットや鉋がけがやりやすい。
- 一個ずつ折りたたんで運べるので京町家の狭い階段の上り下りも自在。
- 2台あっても、依然として折りたたんでのコンパクトな収納可能
となり、実際2台組み合わせてのDIY作業は非常に作業性がよかった。
京都に引っ越して暫くの間は、暗室作業なんかやる時間は全くなく、週末はDIYに終始した。DIYの結果作り上げたものは;
階段下の食器棚作成
IKEAも家具、BILLY2台を縦置きから横置きに大改造
一階の畳の部屋二つを天然栗の木の床材でフローリング化
余った床材で作ったエスプレッソマシーン用のコーヒースタンド
…..などなど、同じ作業台を2台並べて使うことで、2メートル以上ある家具の改造もなんとかやり切れた。
リノベ物件購入後のDIYを一通り終えて、さぁようやく暗室整備を始められるとなった時、作業台2台を片付けて引き延ばし作業をやる大きなテーブルを購入しようとした。
しかし、ここで問題。私は引伸機を3台持っている;
- Fuji B690
- Leitz Valoy II
- Leitz Focomat 1C
3台も所有する気はなかった。B690とValoy IIは、京都に引っ越す前から持っていた。この2台は比較的軽く、問題なし。
しかし、京都に引っ越してきてから、私のブログをご覧になったある方が、今も現役で昔ながらの暗室作業をやっている様子をご覧になり、お父さんが使っていたFocomat 1Cを譲りたいとの申し出を受けたのだ。実際に大阪のお宅にお邪魔して現物を確認したら、Focomat 1Cの最終型(デッカイ!)で、イーゼルマスクを載せる台座がB690やValoy IIとは比較にならんほど大きくて(61cm x 54cm x 厚3cm)、分厚く重量もあるタイプだった。華奢なテーブルでは安定しない可能性もあった。
出来れば2台は並べて置けるようおきたい。そして、またDIY作業を行うときには手軽に引伸機用のテーブルをどかしてDIY用の作業台をおけるようにしたい…..そんなことを考えるうち;
DIY用の作業台を2台並べて、その上にテーブル用の天板を置けばよいのでは?
と思い立った。
とにかく最終型のFocomat 1Cがとっても重い。この重量に耐えて安定して置けるテーブルが必要。
更にである。引伸機はキッチリ水平をとることが重要。全く同じ規格のDIY作業台を並べれば、高さは全く同じなので、当然水平もとりやすい。
天板は、丁度よいのがあった。船橋のマンションに住んでいた当時、お風呂場暗室を楽しんでいたのであるが、バスタブの上にのせる板は十二分に肉厚で頑丈なものにして、引伸機をしっかり安定させた方がよいと思い、ヤフオクで製材業者がアウトレットで分厚い天板用の圧縮合板を格安で販売しているのを見つけて即購入(この天板、搬送中に角ぶつけて小さな凹みが出来たということで、不良品扱いとなり、結局無償で提供してくれたというオマケ付きだった)。
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天板とDIY用作業台の締結は簡単
DIYの作業で多用するL型クランプを天板の四隅の位置でかますだけ。DIY作業をやるときは、またクランプを外して引伸機を移動させればよい。
ブツ撮りスタジオ
これらの組み合わせで用意した暗室用の作業台は、面積がそれなりにあるので、物撮りの土台にも使える。照明機材を用意してストロボを複数セットする時などにも重宝する。( ↓ 作例)
暗室として整備した部屋。つまり暗幕が出入り口と窓に掛かっているので外光が一切入ってこないので、色温度を揃えて撮影する環境がえやすく重宝する。
まとめ
同じサイズの折り畳み式のDIY用作業台を2台並べて、分厚い天板を置いてクランプで固定。結局はこれだけ。簡単。たったこれだけで、暗室、DIY、物撮りスタジオにと、色々使いまわせる。
補足:ちょっと苦労した暗室の遮光
京町家の古い家で暗室を組む上で結構苦労したのが遮光。南側は全面明るい窓で、北側の出入り口は襖。南側の窓については、それぞれの窓に、そのサイズに合わせてカットした段ボールを当てがって、その上から遮光カーテンを設置すれば完璧に遮光できた。
問題は北側だった。襖自体は遮光性が高いのだが、襖の上側がロフトのようなスペースになっていてその換気用の障子から光が入ってくる。それなので、↓このようなかたちで、北側はかなり高い位置から遮光カーテンで覆った。こんなに大きな遮光カーテンは市販されていないので、福井県の布地メーカーから大きな黒い生地を取り寄せて自分でカットして端の部分が解れないように綺麗に仕上げた。マンションやアパートならこんな苦労する必要はないと思いますが…..。