Leica M11 Monochromを使うようになってからずっと試してみたいと思っていた赤外線撮影。やっと試してみた。特に私が住んでいる京都は、紅葉の名所。赤く染まる秋も素敵だが、鮮やかな緑に包まれる東福寺や永観堂は本当に心が洗われる思いになる。緑をそのまま緑として楽しむのも凄くよい。しかし、赤外線撮影による写真にはまだ別の楽しみがある。その美しい緑が、白に代わる。そして夏らしい青い空は深みのある黒にとって代わられ、白い雲は白いまま写る。普段見慣れた風景も、まるで別世界に。
夏の京都こそ、赤外線撮影に相応しいと勝手におもいつつ、試してみた。赤外線撮影は、それほど難しいものではない。赤外線フィルターが1枚あれば、それを普段使っている撮影用のレンズに取り付けるだけ。今回は、Kenko PRO1D R72 N(可視光カット、近赤外線透過フィルター)をレンズに付けて撮ってみた。
R72フィルター装着前

赤外線フィルター装着後

ADOX HR-50は、普通の可視光域での撮影も可能で、同時に近赤外線にも十分に感度があるフィルムということで、今回はこのフィルムをLeica M3に装填してテストしてみました。
赤外線フィルター装着前

赤外線フィルター装着後

フィルム現像条件
ADOX HR-DEV (1+49) 22℃ 11分
Leica M11 Monochrom+R72フィルターで撮った時
赤外線フィルター装着前: F5.6 1/500秒 ISO125
赤外線フィルター装着後: F5.6 6秒 ISO125
フィルター装着前と比べてR72フィルター装着時はシャッタスピードを11.5段遅くした設定となった。
Leica M3 + ADOX HR-50 + R72フィルターで撮った時
Leica M3には内部露出計が付属していなので、単体露出計( Gossen Starlite2 )で露出条件を決めた。
赤外線フィルター装着前: F5.6 1/500秒 ISO50
赤外線フィルター装着後: F5.6 1/8秒 ISO50
フィルター装着前と比べてR72フィルター装着時はシャッタスピードを6段遅くした設定となった。
Leica M11 Monochromで、赤外線フィルターを試してみたいと思ったのは、Cameraholics Vol.3 で「鮮やかなモノクローム」という特集が組まれ、78、79ページでLeica M10 MonochromにR72 filter を装着して撮影された作例が出ていたのが切っ掛け。
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空は黒っぽくなり、緑色の部分が真っ白になっていた。Leica M11 Monochrom購入したら是非試してみたいと思っていたが、今回ようやくテストするに至った。結果は、思った以上。特に、緑色の白く写っている部分が完全に白色で潰れてトーンが出るのだろうかと思っていたが、草の茎や葉の形が判別できるだけのトーンがちゃんと出ていた驚いた。
今回、Leica M3にADOX HR-50を装填してR72フィルターを付けて撮った時、夕方で順光よりも少し斜め後方から日が差していた。Leica M11 Monochromで撮った時のほぼ完ぺきな順光とは異なる状態だった。そのためか、草や葉の緑色が白く変わった部分がM11 Monochromで撮った場合よりも若干暗めのような感じもした。しかし、これはフィルムを現像した時の現像時間(若干短かったかも)や撮影時のEV設定が適切だったかどうかということもある筈。このあたりのことは、もう少し撮影条件をふってみたり、フィルムの現像条件を変更したらどうなるのか、色々と試してみたくなる。
フィルムで撮る楽しさの一つが、ここにあると思う。撮影時の状況だけでなく、選択した現像薬品の特性や現像条件、引伸機で焼く時の印画紙、マルチグレードフィルターの使い方などでも作風はかなり変化する。こういうことが”面倒”だと思うか、面白いと思うか……。私の場合は後者。自分なりの作品の個性を醸し出すヒントがあるような気がする。
MINOCAME 
