海の向こうのニコン好き

 

 この一週間は、海外から出張で日本にやってきた同僚(ドイツ人)とともに日本のお客さんを訪問して回った。彼とはあまり趣味の話などしたこともなかったが、一週間ずっと一緒にいれば、食事のときなどに仕事以外の話にも当然なる。そんなとき彼が、帰国する前にカメラを買いたいと切り出した。ドイツ人の彼ではあるが、現在は中国に赴任している。中国は来週全国的にお休みとのこと。今回の日本の出張が終わったら、一旦中国(北京)のマンションに戻って、来週帰国して家族とノンビリ過ごすらしい。大切な家族と過ごす時間を写真におさめたいとのこと。どんなカメラがほしいのかと色々と聞いてみると、デジタル一眼レフのことを随分事前に下調べしていたようで、ものすごくニコンに拘っていた。彼は典型的なエンジニアでしかも頑固なゲルマン魂の持ち主。ニコンのレンズに相当ご執心。ニコンのレンズが世界No.1ともいえる実力を持っていることは認める。キャノンファンの私ではあるが、ニコンのカメラに対して敵対心を持つようなことはない。というより、ニコンのカメラを使っていないので意見のいいようがないのである。
 しかし、彼はAPS-C,35mmフルサイズ、フォーサーズなど撮像素子の種類のことは知らなかった。レンズにもフルサイズ対応とAPS-C専用など種類があることを教えてあげた。シグマやトキナー、タムロンなどサードパーティーのレンズにも素晴らしい実力をもっているレンズがあることを教えてあげた。出張先での仕事の後、日本のカメラ雑誌に出ているアマチュア写真家の皆さんの入選作も見せてあげた。
 非常に感謝された。日本の写真文化とカメラ文化の多様さに、彼は本当に驚いていた。と同時に、ニコンでもキャノンでもオリンパスでもライカでも、心がこもった作品、主張してくる作品、魂が存在する作品というものは、そのカメラを操る撮影者のハートが捉えて作り上げるものだということで意見が一致した。
 いままで同じ会社の中で、本当に写真が好きという人には出会ったことがない。ビデオカメラで子供の成長記録などをとっている人の方が圧倒的に多い。海の向こうとはいえ、一眼レフのファンが同じ社内にいたことには本当に嬉しくなった。
 そして、最終日の昨日。最後のお客さんの訪問が終わった後に、閉店間際のヨドバシカメラのアキバ館に寄った。彼が最終的に選んだカメラとレンズは;
  カメラ: ニコン90D
  レンズ: AF-S DX VR ズームニッコールED18~200mm F3,5~5.6G(IF)
 でありました。
 初めて手にするデジイチの本体とレンズとしてはよい選択だと思う。
 また日本に来る機会があったら、2本目のレンズはシグマの広角レンズにするかもしれないと言っていた。
 彼から、私がキャノンのEOSで撮った写真を送って欲しいと言われた。お安いご用だ。去年京都やスイスで撮った写真をいくつかピックアップしてプリントして送ってやろうと思う。フィルムカメラの写真も最初のフィルムが仕上がったら、プリントして送ってあげようと思う。向こうも、買ったばかりのニコンで撮った写真をドイツから送るから批評してくれという。
 私もまだ初心者なので、批評というよりもお互いに意見を述べ合おうということになった。
 次回は、恐らく今年後半か来年になるだろうが、また会うのが楽しみになってきた。