何のために写真を撮るのか?

それぞれの作品作り

 通いはじめた写真学校。カリキュラムの一つとして、複数の先生とクラスメート全員で、各生徒の作品を批評し合うという時間が設けられている。

 これは私にとっては、本当に刺激的な時間だと気が付いた。これまで、これだけ車座になって他の人の作品を批評したこともなかったし、自分の作品について批評を受けたこともなかった。一昨日、初めてその合評会のようなセッションに参加した。

多彩な経歴

 実は、この写真学校。私だけ途中参加したかたち。一応カメラの基礎や撮りたいスタイルが決まっていることもあって途中参加が可能だと先生方が判断したのだろう。

 講義には様々な人が生徒として参加している。私と同年代でNIKONのデジタル一眼レフで参加している人。ある特定の被写体に拘って撮っている人。プロのカメラマンになりたくて撮影の依頼を受けてCanon EOS R5でポートレート中心で撮っている人、Photoshopの達人のような女性の方も.....写真に関する経験も年齢も使っている機材も一人一人違っていて様々。

 その参加者の中で、フィルムカメラで撮影してバライタの印画紙に焼くことに拘って参加しているのは私だけ。(ただしベテランの先生方はフィルムでの撮影とバライタへの焼き込みに長年の経験あり)。私はまだ作品作りのテーマを具体的に考えていなかったので、とりあえずこの十年余り撮りためてバライタに焼いたものを何点か皆に見せながら、どういう意図でずっと撮ってきたかを説明した。その結果上がってきた質問やコメントは

「あなたは、銀塩モノクロ現像のプリンターになりたいの? 何を目指しているの? 何をやりたいのか全然伝わってこないなぁ〜」

「ファイン・アート・プリントをやりたいの? テーマは何? いま他の皆が言ったように何をしたいのか全然見えてこない」

 などなど......。

写真で何を伝えたい?

 そう言われてみたら確かにそうだ。自分は今まで、とにかくカメラが好きで、フィルムで撮ってバライタに焼くというプロセスそのものもすごく好きで、撮って焼くというプロセスそのものを繰り返すことを楽しんできた感じ。デジタルで撮るのも嫌いではないけど、どっちか選べと言われたら、私の場合はやっぱりフィルムで撮る方がずっと好きである。その好きなカメラとプロセスで作品を作る。それに喜びを覚え、10年以上続けているわけだが、何を撮りたいのか、写真で何を伝えたいのかと問われたら.....。今までは、ずっとただ単に光と影のバランスが面白いところを見つけては撮って焼いてを繰り返していただけで、対象となる被写体がこうでなくてはいけないとか、観る人にこういうことを伝えたいとか、そういうことは考えてこなかった(と思ってた)。まぁ確かに、今まで一つのテーマを意識してずっと撮り続けるという行為はやったことがない(と、思い込んでいた)。

 何を撮りたいのか......? 自分の作品を観る人に何を伝えたいのか?

 今まで撮ってきた中で自分にとって一番思い入れが強くて尚且つこれからもずっと撮り続けたいライフワーク的なものと考えると.....あります、ありましたよって感じ。多分これがそうかなぁ〜?? というか、もうすでにその一部はテーマとして意識せずとも撮っていた。

ライフワークになりえるテーマ

 私の中では、当たり前すぎてテーマにするとかしないとか、それをシリーズ化して人に見てもらいたいと意識しておらず、自分一人で楽しめればそれでよいと潜在的に思っており、皆に色々質問されると、それこそが自分の撮りたいテーマとしてライフワークになるような気がしてきた。

 その朧気にライフワークとして撮ってみたい内容はこんな感じだと話をしたらすぐさま反応がきた。生徒の何人かと先生の何人かが、それって面白いし、聞いたこともない見方だと。

 自分の中では、まだちょっと半信半疑というか、「ソレって、自分だけが魅力あると思っているだけで、人がみて面白いと思うものだんだろうか?」という気持ちの方が今は強い。まぁとりあえず、そのボヤッとしたテーマめいたものを掲げて、私独自の視点による写真物語として綴っていけるか、一つの連なりとして発表出来るレベルの作品群となりえるか、暫く色々試行錯誤してみようと思う。

 人から問いかけてもらう......これは自分の写真ライフを充実させていくという観点において、とても楽しいことだし、その厚みが増すきっかけをもらったようなそんな気持ちになる。しかも、先生方からのコメントや問い掛けも有難いのだけど、それと同じくらい撮り方も、撮りたいものも、写真の経験も、年齢も、何もかもが違う他の生徒さん達から私に向けて発せられるコメントや質問も大変貴重だと思えるようになった。

 それぞれの写真作りの進捗について、皆それぞれプレゼン形式で発表して、それに対してまた皆がコメントを出す。それを質問・コメント・時にはきっとネガティブな批判ももらいつつ、それらを租借しながら、自分自身の写真物語を綴っていく上での栄養源の一部としていく.......。このループプロセスが、これから毎講義ごとに繰り返されるのだ。もしかして俺は、ものすごく貴重なフォト・セッションの場に参加しているのではないか?

エール

 とりあえず自分として筋を通したい部分を踏まえつつ、皆の意見も参考しながらと思っていると、一番若いと思われる参加者の方から

「バライタの印画紙にプリントしたモノクロ作品を初めてみました。テーマに沿った作品作りが出来るよう検討をお祈りします…..」

とか、同年代の参加者の方からは

「......一連の作品群として仕上がるように応援します」

 とか......なんか色々な世代の参加者の方々からそんなこと言われたら、それだけでただただ嬉しくなってしまう単純なヤツ。

 とにかくすべての講義が終わって、所謂卒業展のような展示会が開催されるようなので、それまで色々考え、毎回作品づくりの進捗を皆お互いに披露しあい、相互にコメントを出し合いながら、今までにやったことがないテーマに沿った作品作りというものに楽しみながらやっていこうと思う。

 あと、写真学校に2台あるドライマウントプレス、Seal Masterpiece 210Mのうち1台を格安で譲って頂けることになった。Amazonで購入可能だが40万円以上している。まことにもって大変有難い。自宅にバライタで焼ける環境を整えたがズボンプレッサーでプレスしていると言ったら.......、先生方からバライタでの作品作りを頑張れと、エールを頂いたと思っておこう。

撮影計画

 つい先ほどまで、これから先の一連の講義が終了するまでの間に自分が一つのテーマの下で撮影していく内容やプランを計画書としてまとめていた。先生方に提出するためだ。他の参加者の皆さんは、すでに何か月か前に提出されている。いままでは、その日その日の気分というか、休みの日ならば遠出して好きなところで撮ってという感じで、ほぼ無計画でしか撮ったことがないので、これもまたなんだか新鮮な作業だった。

 正直、今更写真学校に入って何の意味があるのかなぁ〜、と半信半疑だったが、もしかして結構面白いかもという気持ちに少し変わり始めている(??)かな.......。

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