開館記念 福美コレクション展

  αステーションのKyoto space fountainで紹介されていた福田美術館に行ってみた。観に行ったのは「開館記念 福美コレクション展」。Ⅰ期とⅡ期に分かれていたので、 Ⅰ期 は11月に、 Ⅱ期 はこの1月にと、2回観に行った。

 私には思い出深い日本の画家が二人いる。一人は、伊藤若冲。小学生の頃、年賀状を自分で彫った木版で刷って出すことが多かった。木版の画材に、歴史図鑑に出ていた鶏の絵を選んで、元旦にちゃんと友達や親戚のところに年賀状が届くようにと、12月の放課後に一生懸命彫刻刀で彫り込んだことを懐かしく思い出す。その当時は、その鶏が伊藤若冲の作品であったことは特に意識せずに彫っていたのであるが、後から実際の作品を目の当たりにした時から若冲が好きになった。

 もう一人は、橋本関雪。父も母もルノアールとかスーラとか印象派の作品が好きで、その手の画集が家に何冊かあって、私も子供のころ時々眺めていた。大人になってから、印象派の作品はやはり好きで、パリに旅行に行った時は、ルーブル美術館とかオルセー美術館で本物を観て感動したりもした。だが、私にとって橋本関雪の作品は、もっと衝撃的だった。小田急線沿線に住んでいた小学生の頃、たしか父が取引先から招待券をもらったとかで、行ってみるかと誘われて、あまり興味もないままついて観に行ったと記憶している。新宿の伊勢丹か京王だったかは忘れたけど、デパートで日本画家の作品の展示会があって、そこで初めて屏風に白馬が描かれた橋本関雪の作品を目の当りにして、釘付けになった。当時は、他のどんな画よりも流麗で柔らかいタッチであるように感じていたと思う。なのに凛とした存在感。小学生の僕は、だれが描いたかということには興味がなく、とにかくその作品の独特の雰囲気が好きになった。高校生の時、美術への関心が高まっていた時期があって、日本画の画集を図書館でめくっていた時に衝撃を受けたあの画が橋本関雪のものであることを再認識した。フィルムの自家現像とバライタ紙へのプリントが趣味となってから、比較的柔らかく焼くのが好きになったのは、橋本関雪の画の影響があるのではと思うほどである。

 奇しくも、伊藤若冲は京都の錦市場で生まれ育った画家だし、銀閣寺の近くには橋本関雪記念館がある。京都に引っ越してきてから、僕が好きな二人の画家の作品にふれられる機会が多くなったことは本当に嬉しい。

 福美コレクション展では、写真撮影が許されている作品が多くあった。今回のコレクション展は、 伊藤若冲 、橋本関雪、上村松園、尾形光琳、円山応挙、葛飾北斎、竹久夢二 などなど、日本のスター画家が勢揃いしたような豪華な顔ぶれであった。

 伊藤若冲 、橋本関雪以外で、特に気になった作品は、狩野探幽の雲龍図であった。雲の切れ間から龍が顔を出したところを描いた作品。とても臨場感があって迫力がある作品だった。

 福田美術館のカフェからの眺めも気に入った。嵐山から東山方面を望む景色がよい。