Leica M + Ulanzi Zero Y

 M型ライカのデザインにマッチして、尚且つ機動性に優れてコンパクトな軽量カーボン三脚がないかとずっと探していたが、他の物品のサイト検索をしていた時に、これだと思うものが見つかった。Ulanzi Zero Yだ。

M型ライカ向け三脚の理想形

 出張先での仕事が終わってから写真を撮りたいとか、金曜日までが出張仕事で土日もそのまま現地で写真撮影を楽しみたいということが多い私がずっと欲しいなぁと思っていたM型ライカ向け三脚は;

といった感じ。

GITZOの三脚の筈が…..

 これまでずっとコンパクトな三脚はGITZO製トラベラー三脚、GT1940Cを使ってきた。カーボンファイバーより比重が高いバサルト繊維で作られていて、小さめで少し華奢なわりに脚がしっかりしている。なのでNIKON Z7IIに重めのレンズを付けて撮る時などには非常に重宝するので、これからも使い続ける。

 一方、M型ライカと合わせて使う場合はさらにコンパクトで機動性が高い三脚が欲しいとずっと思っていた。GITZOのトラベラー三脚でもカーボンファイバー製のものが軽くていい感じのがあるが、最大高さが150センチ以上でコンパクトさの追求となると、なんかシックリくるものがなかった。

 そんな風にずっと思っていたのだが、ある時メルカリでカメラ用品の検索をしている時に、Ulanzi Zero Yの写真をみて“ムムムッ”となった。ずっと三脚の写真を多く見て来た影響か、折りたたんだ状態のこの三脚の写真を見た時、長さのわりに幅があまりないと直感的に感じた。仕様書を見ると;

  • 材質:カーボンファイバー+アルミ合金
  • 重量: 2.4lbs/1.1Kg
  • センターポール最大荷重:39.6ポンド/18Kg
  • ボールヘッド最大荷重: 5kg
  • レッグアングル:20°/55°/75°の3種類
  • 収納時長さ:423mm
  • 脚のセクション:5
  • 最大高さ:1567mm
  • 最小高さ:153mm

とあった。高さは望み通り。でも、セクション数が5となると、よほど寸法精度が高い仕様で品質管理していないと、ガタつきや伸縮時にストレスを感じるのではないかと、ちょっと不安になった。が、その点は問題なさそうな気がした。既にたくさんのレヴューがネットに出ていてその点の懸念材料はないように思えた。ボールヘッド最大荷重が5kgなら、M型ライカを使うのには十分な耐荷重。

 何せ気に入ったのは最大高さが150センチなのに収納時にはかなりコンパクト。というわけで、メルカリに上がっていた品を購入してみた。

Ulanzi Zero Yの第一印象

 3本の脚をまとめて掌に収めて持てる。センターポールがあるのに非常にスリム。このスリムさを実現できているのは、センターポールの断面が三角形だからだろう。三角形という形は強度を出すのに理想的な断面。強度を維持しながらセンターポールがスリムになった分、3本脚の太さは華奢な感じはなく、私が長年使っているGITZO GT1940Cよりも少し太いくらいだ。これならしっかりとカメラを支えられる。

Ulanzi Zero Y (2)
手に馴染むコンパクト感
センターポールの断面は三角形
センターポールの断面が三角形。
収納時のスリムさを実現。

 早速、自宅近くの鴨川に三脚とLeica M11 Monochromを持って行って、使ってみた。わざと平坦ではなく川べりの傾斜部に三脚を立ててカメラを付けてみたが全く不安な感じはなかった。脚の伸縮もスムーズだった。

Leica M11 Monochrom + Ulanzi Zero Y
Leica M11 Monochrom + Ulanzi Zero Y

アルカスイス対応の雲台

 Ulanzi Zero Yの雲台は、アルカスイス対応。この雲台を選んだ最大の理由の一つがここにある。私のLeica M11 Monochoromのカメラケース底面はアルミ製で、アルカスイスの凸溝があるから、底面に三脚付属のクイックシュープレートを付けずに直接雲台に取り付け可能。三脚をサッと立ててサッと撮りたいときは少しでもセットする時間を短くしたい。それを考えるとアルカスイス対応は便利。

Ulanzi Zero Y の雲台がカメラケースのAruca対応の溝の部位を保持できる。

 

Ulanzi Zero Y の雲台がカメラケースのAruca対応の溝の部位を保持できる。
雲台がカメラケースのAruca対応凸溝を保持できる。

 

水準器を生かす工夫

 アルカスイス対応のカメラケースなら、クイックシュープレートなしでこの三脚の雲台に取り付けられるのはよいのだけど、横ながらのカメラケースなので、水準器(バブルレベル)が隠れてしまう。水準器が見えなくても勿論撮影は出来るけど、折角ある機能を使えないのはちょっと.....ということで、何かよい解決策がないかとずっと考えていた。

Arca対応の雲台
M型ライカ用のカメラケースを直接つけると水準器が見えない。

 アイディアをずっと考えていた時、アルカスイス対応のプレートの中に、プレート自身にも底部にアルカスイス用の凸溝が付いていて、Ulanzi Zero Yの雲台の上に装着すると、雲台のオリジナルのカメラケース取り付け方向が90°変換されるものがあることが分かった。NEEWERのDC-38Q という小型のArcaタイプクイックシューだ。 

小型のアルカスイス対応の雲台
NEEWER DC-38Q 
Arca対応の凹溝プレート自身の底部に、凹溝に対して90°方向に凸溝が付いている。

 このプレートを、Ulanzi Zero Yの雲台に取り付けてみたのがこの状態↓

Ulanzi Zero Y の雲台に小型のArca対応のプレートを装着
Ulanzi Zero Y の雲台に小型のArca対応のプレートを装着

 これで、雲台のオリジナルの凹溝に対して、90°方向にカメラケース入りのM型ライカを取り付けられるようになり、水準器が視認出来るようになる。実際にカメラケースごとM型ライカを取り付けた上側から見ると、水準器が十分に視認出来る↓

 小型のアルカスイスプレートを雲台の上に追加するものの、三脚の収納性は殆ど変わらず、追加プレートを雲台に付けたままでもメーカー純正の三脚ケースにスッと収まる。三脚の収納性を変えず、尚且つカメラケース底面にクイックシュープレートを付けずに機動的に三脚をサッと取り出して撮影現場に設置するという目的は達成されたと思う。

NEEWERのアルカスイス対応プレートを装着したままでも純正カメラケースに収納可能。
アルカスイス対応の小型の追加プレートを装着したまま純正の三脚ケースに収納可能

雲台の操作性も改善

  雲台にアルカスイスプレートを一枚重ねることで、思わぬ効果が生まれた。雲台のパノラマダイヤルのレバーの操作性が向上した。雲台に直接カメラケース底部の凸溝をつかませて設置した場合、カメラケース底面と雲台の距離が近すぎて、レバーがつっかえてします。そこに追加のアルカスイスプレートが一枚介在することで、カメラケース底面と雲台の感覚が少し広がって、レバーの操作がよりスムーズになった↓

Ulanzi Zero Yのパノラマダイヤルレバーの操作性が向上した。

カメラバックへの三脚収納性

 Ulanzi Zero Yを購入して、もう一つ想定外の利点があることに気が付いた。愛用しているGITZOのメッセンジャーカメラバックの三脚収納スペースへの収まりがとてもよかったのだ。このメッセンジャーバックにGITZOのトラベラー三脚に雲台付けたまま三脚収納スペースに入れると、両端がかなりはみ出る。その状態でバックをたすき掛けにして歩いたり自転車に乗り走行するとなると、すれ違う人に端部が当たって怪我をさせてしまうリスクがある。だから結局雲台は三脚から外してカメラバックに別途入れておく必要がある(三脚組み立て時間の短縮化への障害になる)。

 Ulanzi Zero Y の場合は、雲台を付けたままでしかも純正のカメラケースに入れたままでもGITZOのカメラバックの三脚収納スペースに収まる。両端ははみ出るが三脚がカメラケースで覆われているので、端部が多少人に当たっても怪我をさせてしまうということはない。収まりがよいと、どんなところにも三脚を持って行って使いたくなってくる。

GITZOのメッセンジャーカメラバック
カメラバックの三脚収納スペースに三脚ケースごと収めてみたところ。

三脚ケースに見えない

 最近、小さめのリュックタイプのカメラバックを背負って大文字山に登った時に、リュックにUlanzi Zero Yを装着して持って行った。パッと見た感じでは三脚ケースというよりは、尺八でも入っているのではないか思えるような渋いデザイン。こういったデザイン性もなかなかよいと思う。

Ulanzi Zero Yと共に大文字山Ulanzi Zero Yと共に大文字山へへ
Ulanzi Zero Yと共に大文字山へ

長く使い続けたい三脚

 まだ使い始めて間もないが、このところ週末の撮影には毎回この三脚を持って行っている。Nikon Z7IIを使用する場合は、クイックシューが必要ではあるが、重い望遠レンズを付けない場合はこのUlanzi Zero Yでも十分対応可能だ。出張先での仕事後の撮影に、週末の撮影にとこのコンパクトな三脚をお供に、また色々と撮影の幅が広がってくれればと思っている。いつの日か、長く使い込んだ後にレビューとなる追加記事を書けたらよい。