6X9判引伸機用の配光補正フィルター

週末にお風呂場暗室で自家現像を楽しむようになって約一年経過しました。1年前にヤフーオークションで引伸機(FUJI B690)を購入したのですが、ひとつ足りない部品がありました。別になくても引伸作業は出来るのですが、これがあったら作業が少し楽になるのではと思っていたのが、配光補正フィルターセットです。
僕が使っているB690の場合、中判カメラ用のブローニーフィルム(120/220フィルム)に対応していて最大6X9(実画面サイズ:56mmx82.6mm)のフィルムサイズにまで対応している。6X9という大きなサイズのフィルムに対応しているFUJIの引伸機で、最も一般的な35mm判のフィルムをf50mmの引伸レンズを使用してプリントすると画面の四隅で光量低下します。よって、この状態で引伸作業を行うと、当然照度ムラが発生します。
実際、僕も特に大きなサイズの印画紙で、さらに背景が単一色でノッペリとした壁だったり、雲がない均一な空だったりするプリント作業時に、そのままストレートに焼いて、画面の隅の方の濃度が明らかに異なっているのが分かってしまうことがありました。だから、こういう場合は、隅の方だけ長目に焼き込むプリントをやり直す必要が出てきます。隅の方の濃さが異なっていると思った場合は、その部分だけ焼き込み作業を行って、できるだけ均一な背景の濃さになるように調整したりしましたが、それはそれで、いかにもアナログ的で楽しい作業だとも思ったりします。
同じFUJIの引伸機でも、FD690のようなプロ向けの6X9判用高級機種だと50mmの引伸レンズを使用する時には、専用の補助コンデンサーが純正部品として搭載されているようで、最初から照度ムラ防止に対応しているみたいです。
35mmフィルムやブローニーフィルムでも6X7判までしか使わないという場合は、わざわざ6X9判対応の引伸機は必要ないわけで、35mm専用機や6X7判まで対応している引伸機ならば、6X9判対応引伸機のようにf50mmレンズ使用時の照度ムラは心配ないですからそれらを使った方がよいでしょうねぇ。しかし、私は今だんだん中判のカメラに興味を持ちつつあります。いつかはハッセルブラッドが欲しいなぁと考え始めています。ハッセルブラッドの場合6X9判までは必要ないですが、さらに6X9判対応のカメラが欲しいなんて思うこともあるかもしらんですからなぁ。そうなると、やっぱり現時点では照度ムラの心配がより少ない6X7判対応の引伸機などに買い替える気にはなれないです。だったら、35mmフィルムを使うとき専用にもう一台買えばよいではないかとなるのでしょうけど、何しろ狭い我が家。もうこれ以上引伸機を増やして、スペースを占領しようものなら、確実にカミさんに殺されてしまいます(笑)。
私が購入したB690は、デジタルカメラが幅をきかせるようになる前は、非常にロングセラーの人気機種であったようですが、性能的には汎用機種のようで、照度ムラ補正用のコンデンサーは搭載されていないです。照度ムラを防止するためには、別売りの配光補正フィルターセットが必要になります。しかし、デジタル全盛のこの時代、今更この特殊な引伸機のアクセサリーを、富士フィルムさんが販売継続しているわけもなく、これもまたヤフーオークションで手に入れるしかないと思い、ここ数カ月間これが出てくるのをずっと待っていたら、やっと出てくれました。

配光補正フィルター
発売されていた当時の価格とほぼ同額の5000円で落札。引伸機本体の落札価格と比較すると、少々高い買い物でしたが、落札して実際に送られてきた商品を見てビックリしました。外箱は色褪せておりましたが、中をあけて出してみると、今まで完全未開封の新品であることが分かりました。相当の年代物でしょうから、それが新品で手に入ったことには感謝したいです。
配光補正フィルターという立派な名前がついているので、さぞかし高性能な光学補正用のフィルターだろうと想像していたのですが、意外とつくりは簡単。ガラスの中央の直径3cmくらいの範囲内に白い色のドットが印字して埋めつくされておりました。要するに、印画紙に焼く時の中央部の光量を抑えて、画面四隅の光量と合わせようとしているわけです。しかし、配光補正フィルターのみ使用すると、当然フィルター中央部の白いドットの影が印画紙にうつってしまう可能性があるので、もう一枚拡散ガラスなるものを、配光補正フィルターの下部に設置する必要があるのであります。拡散ガラスは、今回落札した配光補正フィルターセットの中にちゃんと入っておりました。
昨日現物が届いたばかりなので、まだ、配光補正フィルターセットをB690に設置した状態でのプリント作業は行っておりませんが、とりあえずB690の中に取り付けてみました。
B690の場合には、2枚あるコンデンサーレンズの間に拡散ガラスを簡単に挟み込むことができると分かり、とても便利。そして、配光補正フィルターはコンデンサーレンズの上部にあるフィルターポケットに入れればよいだけ。
とりあえず、この状態で次回引伸作業をやってみようと思います。
今回購入した配光補正フィルターセットは、B690だけではなく、FUJIの角型コンデンサーを採用している以下の機種でも使用可能だそうです;
SS690、SD690、S690、S690DX、A690DX、F690MF、N690MF、S69、B
尚、D35などのナングレアガラス付のネガキャリアを使用する場合、拡散ガラスは使う必要はないそうです。