昨日までの3日間、東京オルタナ写真部のワークショップに参加していた。一言で言えば、ゾーンシステムの理解・習得と、それに基づくフィルムカメラでの撮影、フィルム現像、印画紙への引伸という工程を学ぶ。
講義内容は非常に分かりやすかった。残念ながら、私のフィルムカメラでの撮影テスト結果は散々だった。これは、講義内容に問題があったからではない。その証拠に私以外の参加者の皆さんは、素晴らしいフィルム現像結果とプリント結果を得ておられた。
なぜ、私だけ失敗したのか?その検証が重要である;
- これまでの測光方法(入射式露出計+体内露出計)
- 何故フィルムが素抜けに? --> スポットメーターの問題
- 不安的中のフィルム現像結果
- いつもの露出計と今回使ったスポットメーターとの測光結果比較検証
- スポットメーターの製造時期
- ゾーンシステムに適したスポットメーターの受光角度
- ゾーンシステムに適したスポットメーター製品
- どのスポットメーターを買うか?
- スポットメーターを購入するまでにやるべきこと
1.これまでの測光方法
問題は、今回使ったスポットメーターにあったようだ。今回のWSはゾーンシステムに基づいて撮影を行った。使用カメラはLeicaM3。私が持っているスポット測光できる露出計は、10年前にヤフオクで購入した20〜25年前に製造された露出計。今まで全然使っていなかった。
この10年くらい、いつも入射式露出計を使って測光して、遠くの方の条件は、目測で凡そこれくらいだろうと決めて撮ってきた。いわば、入射式露出計 + 体内露出計とでもいおうか…..。
2.スポットメーターの問題点
今回、スポットメーターで測光した値は、なんかいつも測光している感じとくらべてシャッター速度が速い(アンダー気味)ように思えた。また、今回はイエローフィルターとPLフィルターを重ねて撮るようなこともしたのだけど、その際イエローフィルターとPLフィルターを重ねてスポット測光しても、重ねない場合と同じ測光結果が出たり......??イエローとPLが重なっていたら、最低限2EVくらい付けない場合と比較して測光に差が出てもよいと思うが......?
今回は、そのスポットメーターを初めて使い、いつも使っている入射式露出計も持ってきていなかったので、まぁいいかぁ~という感じで、その結果を信じてゾーンIIIを基準にF値とシャッタースピードを決定した。
3.不安的中のフィルム現像結果
結果は、やはり不安的中。特にPLフィルターとイエローフィルターをかけたカットの結果が酷く、36枚中半分程度を占めていたこれらのカットは、殆ど素抜けに近い状態だった。フィルターをかけているのに補正が必要ないという測光結果をおかしいとは思ったが......やはりという結果。しかし、まだ他にも不可思議な結果が出ていた。上記2種のフィルターを付けずに比較的光量が豊富な環境で測光して撮ったフィルムは比較的暗部のトーンが出ていたが、大きな常緑樹の木の下で、かなり薄暗い環境下で撮ったフィルムも殆ど素抜け....。まぁ、今回の件で私の入射式露出計+体内露出計という測光方法が意外とイケてることが分かったのは収穫だった。
4.測光結果の比較検証
これはやはりスポットメーターに問題があるのではないと思って、帰宅してから、問題のスポットメーターと、いつも大体いい感じにフィルムのトーンが出てくれる入射式露出計の測光結果を比較してみた。
比較方法は、まず入射式露出計で測光。次に、入射式露出計の受光部の位置にグレーカードを置き、グレーカードの表面を今回撮影会で使ったスポットメーターで測光して、両者の結果を比較してみた。
その結果、やはり比較的照明で明るい環境下で測光した場合は、両者の結果にはほぼ差がなく、より暗い環境下で測光した結果は両者の結果に大きな乖離が出て、問題のスポットメーターの方が2~3EV程度アンダーに出てしまう傾向があった。
5.スポットメーターの製造時期
あと、今回使ったスポットメーターは20〜25年以上前の製品。古い製品だし、性能上何か問題があるのかも....?
6.ゾーンシステムに適したスポットメーター
さらに、今回WSで指摘されたことであるが私が使って入るスポットメーターの受光角度は5°固定。ゾーンシステムではこの角度が1°でないと使いものにならないとの指摘をうけた。
7.ゾーンシステムに適したスポットメーター製品
以上のことから、スポットメーターを新しく買い替えることにしたのであるが、受光角度が1°のスポットメーターはとても値段が高い。各製品のお値段はアマゾンやヨドカメのサイトでチェックしてみて下さい;
SEKONIK : L-858D
日本のセコニック製。受光角度1°だけど以下のGossenの製品のようにワンタッチで撮影シーンの各ポイントがどのゾーンに相当するか確認することが出来ず換算が必要。
Gossen Starlite2
ゾーンシステム測光が可能。Kenkoが代理店として販売。しかしとても高い。B&Hやアマゾンから買った方がまだ安く買えるか、’20年2月の時点では6万円以上のお値段。
PENTAXデジタルスポットメーター
新品での販売は随分昔に終了。ヤフオクやメルカリで中古が出てくるのを待つしかない。この半年以上見続けているが、メルカリの方が比較的安い。しかしメルカリの場合、出品されると瞬殺ですぐに誰かが購入してしまう。出品されたら通知がくる設定にしてあっても意味がない。皆チェックしているので、よほど状態が悪いそうな製品でない限り、いつも出品直後に早い者勝ちに勝利した人に持っていかれ、もうずっと買えずにいる。が、何せ古い製品。今回私が測光を失敗した原因が非常に古いスポットメーターにありそうであることを考えると、PENTAXの非常に古いデジタルスポットメーターだと故障していたり故障のリスクが高いという不安がつきまとうのではなかろうか。
8.どのスポットメーターを購入するべきか?
一度買えば長く使い続ける製品。やはり、ゾーンシステム測光が出来るGossen Starlite2には心惹かれる。つい昨日も、Hasselblad用のC150mm F4.0を購入したばかり。散財ばかり出来ない。とりあえず、手持ちの他のカメラのレンズを何本かメルカリまたはヤフオクに出品して、売れたらGossen Starlite2にするか、SEKONICのスピードマスターにするか、しばらく悩むことになりそうだ。
9.スポットメーターを購入するまでにやるべきこと
ゾーンシステム測光(あるいは従来の自分なりの経験上からくるいい感じに仕上がる測光方法での測光)がキチンと出来ても、フィルムの現像がいい加減では意味がない。今回の東京オルタナ写真部の講義で、フィルム現像中の攪拌方法が現像結果に影響することを教えてもらった。各フィルム、現像液の特徴も非常に興味深い。最終的にはやはり自分が普段行ているフィルム現像方法で得られるフィルムの仕上がりが正しものであるのかどうか一つ一つ確認していくのがベストだと思った。Silversaltさんのウェブサイトには、自分の現像方法による各フィルムの特性曲線を作成するためのフィルムテストの方法が紹介されている。
新しいスポットメーターを購入出来るようになるまでに、まずは自分自身の特性曲線を、各フィルム毎、各フィルム現像条件毎に作って、自分にとって一番信頼できる各フィルム+現像液ごとの現像条件確立を行っていこうと思います。