飼い猫グレピの神経障害と治療

異変、通院、治療、回復まで

目の異常

 昨年の今頃、下京区から東山区に引っ越した。引越す直前、家内が我が家の飼い猫、グレピの目の前に手をかざしても何も反応しないことから目に異常があるのではと気が付いた。

 引越し作業の合間に家内が動物病院に連れて行ってくれた。どうも至近距離にあるものがよく見えないのと、瞳孔が開いたままで、明るい場所であまり閉じてくれないので、窓際とかに行くと、グレピにとっては眩しすぎる状態になってしまっていたのだ。我が家のグレピとクロピは2008年生まれ。人間で言えば、もうお爺ちゃん。年齢的になにか問題が出てもおかしくはないかもしれないとも思いつつ、まずは目薬での治療が始まった。その後、目薬の効果が出たように見えてきて、家猫の行動範囲ということでは、生活に支障なしということになって、少し安心していた。

食事が出来ない

 ところが去年の夏、いつも食欲旺盛なグレピなのに、なんだかキャットフードを食べる速度が遅い…….、というより口の脇からキャットフードがポロポロとこぼれてきて、うまく咀嚼出来ていない感じになってきた。家内が固いキャットフードの代わりに柔らかいタイプのものを上げてみたりしたのだけど、やはり咀嚼がうまくいかないし、よく見るとキャットフードを口の中に運ぶための舌の動きがあまり滑らかではないように見えた。

モノ音に超敏感

 そして、以前と比べると音にものすごく敏感になってきた。最初のうちは、引っ越しによる環境の変化の影響もあるのではないかとも思っていたが、食事中に偶々私が自分の部屋から出る時のドアを閉める音やスリッパが擦れる音とかにも極めて敏感に反応して、とても怖がって食事を途中でやめてしまうようになったので、食事中は家内が側にいてあげて、私は自分の部屋や寝室に籠って出来るだけ音を出さないようにするなどの対応をせねばいけないくらいに、グレピはどんどん物音に神経質になっていった。

ステロイド治療

 改めて先生に相談に行くと、結局目が見えにくくなっていることも、音に異状に敏感に反応するのも、舌が滑らかに動かず上手く食べられないのも、神経異常による一連の問題だと指摘され、ステロイド治療を勧められ、家内が毎日ステロイド薬をシリンジでグレピの口から投与するようになった。

 投与を初めてしばらくは効果があるのかハッキリ分からない状態が続いた。一番心配だったのは、やはり食事が上手く出来ないこと。一時は本当に激やせ状態となり、以前のように元気に家の中をクロピと一緒に駆けずり回ったり、クロピとじゃれ合ったりということはなくなってしまい、一日中座るか寝ているかで、家内は心配のあまり涙することも……..。

 先生からは、症状をいかに現状のレベルに長く保てるか…..と言われ、要するに現状より良くなる可能性は極めて低いというようなことを言われたこともあった。

 ステロイドを飲ませる時のグレピは、やはり辛そう。薬が非常に苦そうだ。幸いなことに夏の終わりくらいから、徐々によくなる兆しが見えてきた。舌の動きが戻ってきてキャットフードの食べ難さはすこし改善してきて食べやすい感じが徐々に戻りつつあるように見えた。クロピと以前のようにじゃれ合う様子も時々目にするようになった。しかし、物音には依然として極めて敏感な状態のまま…..。

ステロイド投与中のグレピ(苦いね)
薬が苦いけど頑張ろうなグレピ!

 それでもステロイドが非常に強い薬なので、症状が少し回復する兆しも見えたので投薬の頻度を下げるた。すると途端にまた食事がしにくくなったり、より一層神経質になったりして、よい時とよくない時の波が交互に来る感じとなり、ステロイドの投薬頻度は下げるべきではないと判断して、毎日投与する状態に戻した。

 毎日投与する状態に戻してから、僅かずつではあったがよくなる感じが出てきた。幸いにして、昨年の秋、京都市内のそこかしこで紅葉狩りを楽しむ人で一杯になった頃から、グレピの体調回復ペースが早まってきて、今も毎日ステロイドを投薬せねばいけない状態が続いてはいるものの、食欲は引っ越す前と同様に旺盛になってきて、クロピと一緒に元気一杯に家中を駆け回る姿が戻って来た。残念ながら視力は完全には戻っていないが、僕らと一緒に家にいて生活する分には何ら支障がないレベルになってくれたし、キャットタワーに上る姿も見られるようになった。

 昨年先生から現状以上によい状態に回復することはかなり難しいというような宣告を受けたときは、最悪の状態を覚悟せねばいかんとも一瞬思ったが、グレピの今の回復ぶりは本当に嬉しい。

さらに嬉しい出来事

 昨年グレピが神経異常で苦しい状態にある中、とても嬉しいことがあった。普段、私は仕事のため平日家にいる時間が少なく、家内といることが多いことも影響していると思うが、グレピもクロピも私のことを完全に「よそさん」扱い。正直この10年以上、家内と比べるとあまり仲良くしてくれていなかった。

 ところが昨年の夏だったか、神経異常の影響のようで、特に耳の後ろあたりに違和感を感じるのだろうか、ブラッシングをして欲しい時の床に転がって両腕を曲げるポーズを、以前は家内の前でしかしなかったのに、私の前でも頻繁にするようになった。ブラッシングをしてあげると、本当に気持ちよさそうで、いつまでもやって欲しそうな様子に。それがもう可愛くってたまらなくて、こっちもその様子に応えてジックリとブラッシングして上げた。出勤前やテレワーク前に毎日のようにそうして上げているうちに、以前グレピは私が側寄ると、サッとどこかへ行ってしまう感じだったが、今ではもうそういうことはスッカリなくなった。グレピにはとてもつらい病だけど、この一年の治療中にグレピとの距離がグッと近くなったと感じている。そしてそんなグレピの影響もあるのか、クロピも以前と比べて、サッとどっかに行ってしまう感じが、グレピ同様に減ってきた。これは本当に私には嬉しいことだ。

投薬頻度

 ステロイドの投薬は継続中だし、視力も完全ではないものの、グレピの生活ペースと体調は、もうほぼ完全と言えるくらいに引っ越し前の非常に元気な状態に戻ってくれた。とても食欲旺盛だし、元気に家中を駆け回ったり、パトロールしている。そしてよく寝ている。

 先生がこの状態をみて、ステロイドの投薬頻度を下げることを提案。とりあえず、毎日投薬している状態のうち、日曜日の投薬を一日だけやめて一週間様子をみたところ、特に異常はなかった。

 さて、この後どうするか…….。昨年、投薬頻度を下げたら、また元気がなくなって、かつより神経質になってしまったという苦い経験があるだけに、投薬を下げる頻度は慎重に検討したい。

 まず、日曜日だけ投薬を抜いてみる状態と抜かない状態を繰り返して異常が起きないか観察を続け、問題がなければ、そこからまた焦らずに徐々に少しずつ下げる方向を検討したい。

ステロイド投与中のグレピ