ANA : AZUREは写真に力が入っています。

ANAマイレージサービスで送られてくるAZUREは、写真ファン、カメラファンの私にとっては、毎号届くのが非常に楽しみな季刊誌である。この季刊誌の編集者は、きっと相当に写真やカメラに思い入れがあるのではないかと感じる。毎号のように有名写真家の写真も掲載するが、一見するとなんでもないカットにも非常に気を使っているように感じる。
2008年秋号は、その極みと言ってよいのではないだろうか。秋号では、「記録か、アートか…カメラ、僕流」と題した特集が組まれていた。
登場したのは、佐野史郎さん、赤瀬川原平さん、野口健さん、松任谷正隆さんという、カメラ好き・写真好きとして知られる有名人。
さらには、モノクロの天才として知られる森山大道さんの写真が惜しげもなく掲載されていた。

 

ANA AZURE

 

 

 EOS40Dを使い始めて以来、スナップ写真・報道写真等の歴史に関する記事に興味が湧いている今日この頃。すでに他の雑誌や写真の参考書で見たことがあるロバート・キャパ、アンリ・カルティエ・ブレッソン、ユージン・スミス、などなど写真の歴史をつくってきた有名写真家の作品まで掲載されていた。こういう記事は大歓迎だ。まだまだ写真初心者の私にとっては現代の写真フリークと
かつての大写真家の作品を対比してみれるので、楽しいし、勉強にもなる。
 私のような写真初心者でも、今回掲載されていた写真からどれか一枚だけ選べと言われたら、私はロバートキャパの「崩れ落ちる兵士」
(1936年)を選ぶ。スペイン内戦の取材で、キャパが見ている目の前で、兵士が頭を射抜かれて、倒れる瞬間を捉えた一枚だ。
 1936年であるから、今の日本勢が確立したAFやUSMの技術がまだない時代だ。キャパはライカの名手であるが、当時のカメラでいったいどうやってこんな決定的瞬間を捉えることができたのかと、何度見ても思ってしまう。素人目に見ても構図がなんとも素晴らしい。戦場でありながら、倒れゆく兵士の背景として写っている風景がなんともさわやかなのだ。崩れていく人の姿のバランスが、すごくよいのだ。倒れるのであるから、必然的に不安定さを覚える筈が、この写真は非常に均整がとれているように思う。
 人の死の瞬間だから、陰鬱な雰囲気になるはずが、その写真を見続けても目を背けたくなるという感覚は、少なくとも私には一切なかった。
 普段、仕事が忙しくて平日は全然写真が撮れない。写欲がドンドンたまっていく。それを抑えるためという訳ではないが、わずかな空き時間ができると、本屋を探そうとしている自分に気がつく。せめて写真関連の本を読んで写欲を抑えようとするわけで.....。
 これはもう、完全にカメラ中毒、写真中毒に陥ってしまったとしか言いようがない。